制服着用が義務になっている職場なのに、その分の給料が支払われていません――。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられている。
飲食業界で働く人からの相談は少なくない。あるパート従業員は就業開始10分前には店に来て、着替えや手洗いなどの準備を終えなければならないという。
ファミレスで働く女性も、タイムカードの出勤打刻前に制服に着替えて、仕事が終わったあとは退勤打刻してから着替えている。こちらは着替えには15分弱かかるそうだ。
仮に着替え時間が10分、月の勤務日が20日だとすれば、月200分・年2400分が使われていることになる。
こうした着替えなどの時間は「労働時間」にあたらないのだろうか。もし労働時間にあたる場合、その分の給料を支払ってもらうことはできるのだろうか。島田直行弁護士に聞いた。
●指揮命令下に置かれている時間は「労働時間」労働基準法には「着替え時間が労働時間にあたるのか」について明記されていませんが、この問題を考えるにあたって、参考になる最高裁の判決があります。
三菱重工業長崎造船所事件(2000年)で、最高裁は、労働時間について「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義しました。
そして、労働時間にあたるかどうかは、労働契約や就業規則で決まるのではなく、客観的に定まるものとしています。
この判断に基づくと、たとえば制服の着用を義務付けている職場では、原則として、着替え時間も労働時間となります。その分の給料を支払わないのは、違法と判断される可能性が高いでしょう。
これは、職場の規模に関係なく適用されるので、法的には、着替え時間にも給料を支払ってもらえます。
もし経営者が任意に支払ってくれない場合、従業員としては、労働審判や裁判を検討することになります。
ただ、これは職場全体に関わるものです。抜本的な解決を目指すのであれば、労働基準監督署に相談したり、労働組合による団体交渉も考えられるでしょう。
【取材協力弁護士】
島田 直行(しまだ・なおゆき)弁護士
山口県下関市生まれ、京都大学法学部卒、山口県弁護士会所属。著書に『社長、辞めた社員から内容証明が届いています』、『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』『社長、その事業承継のプランでは、会社がつぶれます』(いずれもプレジデント社)、『院長、クレーマー&問題職員で悩んでいませんか?』(日本法令)
事務所名:島田法律事務所
事務所URL:https://www.shimada-law.com/

(出典 news.nicovideo.jp)
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