■父も「塾なし」で国立大学に合格
ネットで「オトクサ」と検索すると「何者」と出てきます。皆さんも私のことを「何者?」と思っているかもしれませんね。子どもの中学受験について語る前に、まずは自己紹介から始めたいと思います。
私、オトクサも中学受験の経験者です。進学先は面倒見のいい学校であったこと、先生を信頼していたこともあり、大学受験では、先生から推奨された問題集と赤本中心の「塾なし」受験で、無事大阪大学に合格することができました。
大学時代は、自分が中学受験時代に通っていた塾(浜学園)のライバル塾(希学園)でアルバイトをしました。
こう書くと「なんだお前、“塾なし”ってのはつまり、自分が塾でバリバリ教えてたから子どもにも教えられたのか」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。テストや自習室の監督が中心の業務でした。とはいえ、受験生でも保護者でもない立場で中学受験の世界を見た経験が役立ったのは間違いありません。
■7人のきょうだいに囲まれながら中学受験
今は普通の会社員です。どうやら、子ども8人=金持ち、塾なし勉強=時間の融通がきく自営業、と連想する方が多いようで「オトクサ 職業」もなぜか検索されています。
在宅勤務の日もありますが、基本的には通常の会社勤めをしており、「子どもの勉強が何より優先」という考えは持っていません。むしろ、飲み会と麻雀と競馬が趣味で、その隙間に勉強を見ることがあるという、受験生保護者としては「ダメな部類」の父親なのだと自覚しています。
そんな父親が、なぜ「通塾なし」という選択をしたのか。その理由と実践方法についてお話ししていきます。
中学受験をする小学6年生にとって、夏休みは天王山と言われるくらい大事な時期です。秋以降は過去問演習が中心となるため、まとまった時間が確保できる夏休みが、単元別の総復習・苦手克服の最後のチャンスとなるためです。
しかしオトクサ家の場合、この大事な時期になんと8人目となる赤ちゃんが生まれました。一番上と一番下が女の子、間の6人が男の子という大家族の中で、長男は受験勉強に取り組むことになったのです。
■「受験生優先」から程遠い家庭環境
世の中のご家庭では、中学受験生が最優先されることも多いでしょう。しかし、オトクサ家では常に赤ちゃんやちびっ子たちが優先される環境でした。
「ごめん、オムツ替えといて!」と勉強中に頼まれることも珍しくありません。祖父母も遠方に住んでいるため、私と妻の2人で家事や育児をこなしながら、受験勉強のサポートをする必要がありました。
長男が受験をする小学6年生の頃は0歳、2歳、4歳、6歳、8歳、9歳の妹と弟がいました(年上は2歳上の長女だけ)。ちびっこがいると毎日がにぎやかで楽しいんですが、中学受験に取り組む環境としてはとても大変です。
当時の家庭環境を具体的にお伝えするとこんな感じです。
● 本棚や問題集が日々グチャグチャに(棚に戻してもすぐ床に落とされる)
● 勉強中でも部屋にちびっこたちが気にせず入ってくる(バタバタ走り回る)
● きょうだいの騒ぐ声が絶えない(時には喧嘩も)
● ノートは破られ、消しゴムは割られる(消しゴムは一カ月に50個買っていたことも)
制御不能な様子をご想像いただけますでしょうか。つまり、親が寄り添って勉強を見る、プリントを整理するといった「一般的な受験生活」は、最初から難しい状況だったのです。
■弟たちにイライラしつつ、癒される日々
そんな環境でも、長男は小学5年生の年末頃まではリビングで勉強していました。家族10人が座るリビングテーブルなので、今皆さんが考えているサイズの一回り大きいテーブルを想像してもらったほうがいいかもしれません。
家族10人が座れる大きなテーブルで、毎晩18時には全員で夕食を取ります。これは私が大切にしている家族の習慣で、通塾しないからこそできた日課でした。
6年生になってからは、過去問やテスト演習のため、リビングを卒業し、子ども部屋での勉強に切り替えました。リビングの騒がしさは相変わらずでしたが、休日は弟たちを公園に連れ出すなど、できる範囲でサポートを心がけました。
自分は必死に勉強しているのに、毎日騒ぐ弟たちを見てイライラする長男の姿も見られました。しかし同時に、休憩時には弟たちと楽しくゲームをしたり、階段を駆け下りて赤ちゃんのぷにぷにした頬を触って癒されたりする姿も見られました。結果的に、きょうだいの存在が長男の大切な気分転換になっていたように思います。
■知育グッズや図鑑で学力が伸びる?
長男が開成中学校に合格した後、よく聞かれる質問があります。
「小さい頃、知育遊びはしていましたか?」
「どんな本を読み聞かせていましたか?」



